北海道エコビレッジ推進プロジェクトについて
About HEPP

“持続可能な暮らし”とは何だろう?
共に生活し、共に学び、共に試そう!!

北海道エコビレッジ推進プロジェクト(HEPP)とは

「持続可能な暮らしと社会」の推進を目的に、環境的にも社会的にも豊かな次世代のコミュニティモデルの創造および普及啓発にかかる活動を行っています。食糧やエネルギーなど自分たちの暮らしに必要なものをできるだけ自ら作り出し地域で共有するシステムや、包括的な学びの機会を広く提供するとともに、生産者と消費者、都市と農山村をつなげることで、地域の活性にも貢献したいと考えています。

2017年事業計画

1.概況

2017年度は、「持続可能な暮らしと社会」というテーマを再認識し、学びのプログラムと並行して実践活動を深めたい。また、経営基盤を固めるために、多様な体験プログラムを実施するとともに、加工品などの商品開発、農園会員制度についても検討を進める。
農園リフォームについては、昨年に引き続き、循環型の農園を目指して動物の導入や作付の変更、工夫を行う。
また、地域の農家、住み込みスタッフ、ボランティア、ビジター、会員など多様な参加者がそれぞれ自分らしく気持ちよく関われるように、情報共有やコミュニケーション、環境整備に努める。

2.余市エコカレッジ事業

1)体験プログラム
「持続可能な暮らしと地域」をテーマに、自給的な各種スキルのほか地域の自立やグループワークを学ぶ通年講座を開講する。

「持続可能な暮らしと地域」をテーマに、農業や森林管理などを学ぶ宿泊講座を通年、連続で開講する(年8回)。
環境負荷の少ない農業や建築、自己表現やコミュニケーション方法による関係性の向上、地域資源を生かしたコミュニティビジネスなど幅広いテーマを横断的に学ぶ。
座学に加えてワインぶどうの栽培や醸造実習、ものづくり体験、パートナー農家の訪問ツアー、グループディスカッションなど、シーズンを通したチームラーニングを目指す。

  • 4~11月。毎月1回週末開催(土曜午後開始、日曜正午解散)。
    全8回宿泊型。80,000円(単発参加15,000円)
  • 作物栽培、ワイン醸造、養蜂、養鶏、食品加工、汚水処理、太陽光パネル設置などの講義と実習
  • 地域生産者をはじめ各分野の専門家が講師や実習指導を行う。

2)セミナー「持続可能な関係づくり」
持続可能な組織づくりを実践する鈴鹿のおふくろさん弁当を題材に、持続可能な関係づくりを学ぶセミナーを開催する。

  • 講師:岸浪龍(アズワンコミュニティネットワーク鈴鹿)
  • 時期:10月頃(予定)
  • 会場:札幌エルプラザ(予定)

3)研修プログラム・スタディツアー
大学生、企業、市民団体などのグループ研修について、企画、運営、コーディネートを行う。
ロコタブル、JICA、酪農学園大学、北海道大学建築学科、NPO苫東環境コモンズ他

4)運営体制

プログラム企画と庶務を常勤スタッフが、運営補助として専従のインターン(週40時間程度の労働。住み込み、月額5万円支給)を、それ以外の作業はNICEや大学を通じて単発ボランティアを募集する。
作業マニュアルや生活ガイドラインを作成し、互いに実りある関係づくりと環境整備に細心の配慮をする。

3.会員の自主活動

「持続可能な暮らし」にかかる多様なテーマで会員が自主的に活動できるようなクラブ活動を活発にする。
    例)「畑クラブ」(自給菜園)、「エコクラブ」(雨水タンク、非電化冷蔵庫、雪室など)、「生き物クラブ」(鶏、羊の飼育)など
また、宿泊のできる小屋を自費で建設するに当たっては、運営会議で計画案を提示して承認されること、㈱HALKULと協定を結び、土地の利用料金を支払った上で、自己責任で行う。

4.広報事業

HEPPの活動趣旨を広く発信するためにホームページを充実させる。また、エコカレッジ事業や各種イベントについては会員向けのニュースレター(年4回)、FB、メーリングリスト等で情報発信と共有を積極的に行う。

会報のご案内

会報イメージ

会報

HEPPでは年4回、会報を発行しています。事業報告やイベント情報など、私たちの活動の歩みを知っていただけたらと思います。
郵送をご希望の方は、下記お問合せ先までご連絡ください。

バックナンバー

過去の会報がPDFでご覧になれます。

特定非営利活動法人 北海道エコビレッジ推進プロジェクト 団体概要

1.団体の目的

  1. 自給的な生活スキルや環境荷の少ないライフスタイルの実践研究を通じて、持続可能な暮らしと社会について学ぶ機会を広く提供する。
  2. 農業体験や協働作業を通して子どもや青少年、障がい者などさまざまな人が社会参加を図り、都市と農村が互いに支え合う関係を構築する。
  3. 北海道内にエコビレッジを建設するための情報収集や準備活動を行う。

*「エコビレッジ」は、住民が協働して環境に負荷を与えない暮らしを求めるコミュニティです。持続可能な暮らしの実践として、また過疎や子育てなどの地域課題の解決手法として着目され、欧米を中心に世界中で拡大し15000箇所以上あると言われています。

2.事務所および実習場

札幌事務所:市中央区宮ヶ丘2丁目1-1 ラファイエット宮ヶ丘303号
余市事務所:余市郡余市町登町1863

3.会 員

正会員13人、賛助会員 30人

4.沿 革

2009年2月 エコビレッジライフ体験塾設立
2012年1月 NPO法人北海道エコビレッジ推進プロジェクト設立
2012年3月 余市における活動開始
2014年4月 余市エコカレッジプレ開講、学び舎建設

5.余市における主な活動(2014年度)

  • 学生ワークキャンプ(5月、9月)
  • フットパスツアーの実施(6~10月各1回 エコネットワーク共催)
  • 余市・仁木スイーツコンテストの企画運営(北大余市サテライト共催)
  • 地域のにぎわいイベント開催(仁木町との連携)
  • 大学や研究機関と連携した教育プログラム(酪農学園大学、北海道大学との連携、JICA草の根技術協力)
  • 農業体験や農村資源を活かしたプログラム(修学旅行生の受け入れ、NPO法人自由学校遊共催)
  • 福島の子どもたちのキャンプ(福島キッズ実行委員会との連携)
  • 集落支援のための就業・起業研修in Hokkaido(北海道地域政策部)

6.事業規模

4,788千円(2014年度)

7.助成実績(2009~2014年)

財)北海道新聞野生生物基金、北海道ろうきん、財)北海道地域活動振興協会、財)地域づくり団体全国協議会、公益財団法人秋山記念生命科学振興財団、社会起業インキュベーション・プログラム起業支援金(内閣府地域社会雇用創造事業)、財)北海道環境財団他 財)北海道開発協会、余市町、仁木町

HEPPこれまでの道のりとこれからの歩み

(2015年2月HEPP通常総会に際して)

NPO法人北海道エコビレッジ推進プロジェクト 坂本純科

長沼でのスタート

長沼町でエコビレッジライフ体験塾を立ち上げたのは2009年の春でした。ヨーロッパのエコビレッジ探訪の旅から帰って半年後です。自然と共生する集住ライフが地域や社会を変えて地球を守ることにつながっている。彼の地のエコビレッジに感銘を受けてこんな場所を日本にも創りたい、残りの人生をかけて実践しながら伝えたいと思いました。しかし、お金も土地もなく、仲間もいません。まずは自分の考えていること、知っていることを他の人と共有しながら技術や知恵を身につけよう、その中で一緒にエコビレッジを作る仲間が見つかるに違いないと思って始めたのが体験塾でした。じっと考えていてもものごとは動かない、時期尚早と忠告する友人を振り切るようにスタートしました。

次のステップを探して

多才な人材が加わって塾は年々充実してきました。塾の意義は大きいしニーズも確信しましたが、その活動が自然にエコビレッジ(複数の人がともに住んで働きながら、環境負荷の少ない暮らしを実現するコミュニティ)に発展するかというとそうはならない、ビレッジを作るためには並行して別の活動が必要だと思いました。
特に2011年の東北の震災と原発事故をきっかけに、その思いは急激に強まりました。今の社会にNOと感じている人は多数いても、YESと言える選択肢がない以上、この国は次のステージに進めないに違いない。持続可能な暮らしと地域のモデルを今こそ見せなくちゃと決意して、真剣に土地を探し始めると同時にNPO法人を取得することにしました。しかしながら、何箇所かの土地を検討したところ、どれも経済的に手が出ず、農地を手に入れるハードルは高そうでした。

余市での出発

そんなとき、NPOつながりの友人から余市の話をもちかけられました。2011年夏のことです。果樹園を営んでいるお父さんが体調を崩して次の担い手を探している、社会的意義のある活動に使ってくれるなら当面借地でもいい、収益があがるまでは資材等の経費も負担して下さるという話でした。好条件でしたが、2町あまりの果樹園をいきなり管理するのは不安だったので、最初の1年間は熟練者の指導のもとに一通りの作業を体験し、また地域の様子を見極めた上で決断したいと申し入れ、その役目を担う人材を招き入れました。彼女とともに一シーズン経験すれば全体像がつかめ展望も描けるだろうと考えたのです。
さて、一旦始めてみると果樹を無農薬で栽培し、出荷するのは想像以上に厳しく、新スタッフには過酷な労働を強いることになりました。そもそも、自給や教育のための栽培と農業という経済行為には大きなギャップがあったのです。ただ、結果的にその世界を垣間見ることでさまざまな社会課題に向き合ったのは大きな収穫でした。そして、環境負荷の少ない技術や顔の見える関係づくりを目指すエコビレッジ的な活動は、分断された人びとをつなぎ、課題解決の一助になるのではないか。北海道の農業に持続可能な道筋を示すことは、一人ですべて自給することと同じかそれ以上に価値があるだろうと考えました。

最初のマイルストーンはどこ

スタッフの頑張りのおかげで地域とよい関係を築くことができ、2012年春には正式に農業者として認められました。一年間の試行期間中、果樹園の管理と並行してエコビレッジ構想を進めながら、ひとつの転換期を迎えました。それは、「住み手のための暮らしの場づくり」という最初のマイルストーンを変えたことです。変更は私の提案で、そこに至った理由は次のとおりです。
一つ目は、プライベート要素の強い「住まい」や「暮らし」は多くの人を巻き込みにくく、ともすると閉ざされた環境になりがちだという点です。求めているのはメンバーだけの楽しいエコライフや何かあったときの安全シェルターか?いや、それではすぐに行き詰まるだろうと思いました。もちろん、暮らしのないビレッジはあり得ないし、住民の生活だけに特化したコミュニティが悪いわけではありません。一方、社会から隔絶された環境で自給自足を目指していた黎明期のエコビレッジの多くは消滅し、現在存続しているところは積極的に地域とつながりを持ち、農村の活性に貢献しています。私は自分たちの創るエコビレッジが地域に支えられ、頼られる存在になりたい。そしてそこを拠点に育った実践者やモデルが各地に拡散して社会イノベーションにつながることが、次世代エコビレッジのミッションだと考えました。
もう一つの問題はお金でした。というのも、最初から「住む人」を募集すると、年金生活者などお金を稼がなくてもよい人しか参加できないことが想像されました。ビレッジの中にそのような層がいるのは自然ですが、魅力的なビレッジには多様な世代がいること、その中で働けて子育てができることが必須でしょう。
世界のエコビレッジを見ると、そこは暮らしの場がメインなので、賃金を払って住民を雇用している形態はないものの、コミュニティで保育園やレストランなどの小さなビジネスを経営して現金収入を得るのが一般的です。地方の雇用は限られていますが、その土地の資源を活かしてその地域で必要とされている仕事を創り出せば地域経済にも寄与します。一人で起業は難しくても、チームをつくり都市とのつながりを活かして取り組めば、二つの課題が一度に解決できると考えたのです。

多様な人たちを巻き込んで

そこで、将来のエコビレッジに向けた最初の目標を「個人の暮らしの集合体」から「学び合いや交流の場」と「地域資源を活かした小さな仕事づくり」に定めました。そして、教育や飲食業を通してそこに通う人が働く人になったり住まう人になったりして、長期的にその一帯がエコビレッジに成長するというストーリーを描きました。
余市の土地をベースに構想に着手したのが2011年の冬。抽象的な概念だけでは具体的な計画にはならないので、実際にどんなスペースや機能が必要で、どんな人がどんな運営をして、それにはいくらかかってそのお金をどうやって集めて回収するのか、そんなこともシュミレーションしました。そのために、途中からは建築や不動産など多様な専門家の参加を得ながら進めました。私たちの意見をもとに彼らが提出するたたき台を何回も手直し、行きつ戻りつしながらようやく工事に至るまでに約2年半、20回を超える会議を重ねました。この間「住まい手不在ではないか」という批判もありましたが、素人のアイデアを具現化する段階に専門家の力は必須です。「住まい手のための住まい」を作るのではなく、多様な人びとの集う場所を作るのですから多様な視点も欠かせません。また、必ずしも専門家に丸投げしたわけではなく、会議は要所でオープンにし、記録も共有していました。そして、参加協力してくれた設計、施工、設備、資材、メーカーなど各分野のプロたちは、実に仕事の枠を超え、仲間の一員として関わってくれたのです。
素人が時間をかけてすべて自力で達成するプロジェクトの魅力も捨てがたい。でも、プロの技を借りることで既存にはない新しい仕組みやデザインを提案できたこと、「持続可能な住まいや地域づくり」という社会実験に多様な人が力を合わせたことは本当に大きな成果であり、全く別の価値を創出したと思います。

地域とともに創るエコカレッジ/エコビレッジ

学び舎ができると、遠方からの視察に加えて地域の生産者らによる会議や食事などの機会も格段に増えました。ハル農園と二人三脚で行っていたエコカレッジのプログラムも、今期は地域のグループが主体となって進めることになりました。「多様な学びの場」にふさわしい、開かれた思考の仲間たちです。カレッジの一時限目は「のぼりんファーム」で展望台制作、二時限目は「登醸造」でワイン講座…といったようにあちこちにキャンパスがあり、先生がいる、地域の資源や課題を素材にしたプログラムは限りなく広がりそうです。受講生(都市住民)と専門家、地域住民がコラボレーションして持続可能な地域デザインに挑み、さらに地元グループが中心になって具体のアクションを起こすことで地域全体がトランジション(持続可能に移行)していく。エコカレッジはその拠点であり、結果として暮らしの場としてのエコビレッジが成立していくだろう、そんな将来像を描いています。

新しいものを生む希望の力

ゼロからイチを生むステージは、既存の成果を一つ一つ積み重ねていくプロセスではなく、ある種、化学変化のようなメカニズムによって成り立ちます。このプロセスには誰でも参加できて、年齢、性別、経歴その他一切の排除はありませんが、唯一限界があるとしたら希望のある人しか関われないという点です。私たちの世界は残念ながら差別や対立や争いに溢れていますが、それを変えていけるのは、想像力を働かせて今ないものを見ようとし、未来に希望をもって行動する人たちだけだと言い切れます。「ないものやできないこと」ばかり見ていては、新しいものは何も誕生しないでしょう。
振り返ると2009年の立ち上げ当初は、ないものだらけで本当に一人ぼっちでした。今でも綱渡りの状態は変わらないし、むしろ責任は重くストレスも拡大したかもしれませんが、当時の孤独感は消えました。私ひとりの志がひとりのものではなくなったこと、遠くからそっと応援してくれる人も含めて希望を持つ仲間が広がったことにさらなる希望を感じています。

HEPPのあり方と関わる人の関わり方

法人設立時と今では、エコビレッジ建設へのプロセスイメージは変わりました。でも「持続可能な暮らしと社会」という大きなテーマを学び広めるというミッションはずっと変わりません。HEPPは会員だけを対象にした唯一のエコビレッジ建設を目指す団体ではなく、二つ目、三つ目のプロジェクトが現れればそれも(そのときの判断と可能な範囲で)支援するし、外部の団体と連携した事業も行っていく中間支援組織としての性質も兼ね備えています。
活動を進めるには参加者の興味関心、価値観、立場などにもとづく、関わりの多様性を認めることが肝要です。会員の目的は日常の暮らしを楽しみたい、学んだことを事業に活かしたい、週末に通いたい、夏だけ住みたい、イベントに参加したい、生産物を買い支えることで応援したいなど本当にさまざまでしょう。会員ではない立場(地域住民や専門家など)でプロジェクトに関わる人も重要です。さらに、参加の仕方はあくまでも主体的で時間と伴に変化するのが前提です。コアな役割を担っていた人が仕事や家族の都合で活動を離れることもありえるし、しばらくしてからサポーターとして再び参加することもあるでしょう。
この多様性と主体性、「自分のやりたいこと、できることを持ち寄って一人ではできないことを実現する」のがコミュニティ活動の基本であり、これからの時代に必要な市民運動です。個々が役割やルールに従って行動する従来の伝統組織や会社組織とは異なり、ふわふわととらえどころがなく一見弱そうですが、外界の変化にしなやかに対応できる力を持つアメーバーのような集団は、一つの目的に向かって一丸となる集団よりもむしろ強いのではないでしょうか。大きな目的を実現するために、一時的部分的に「やりたくないこと」をやる場面もあるでしょうが、それでもみなの「やりたい」気持ちが強ければ、そしてその先にあるものに希望を持てれば乗り越えられると信じています。

団体として大切なこと

重要なのは、多様な関わりを認めながら、意思決定に参加する機会と情報が常にオープンになっていること、異論を持つ人はどんな立場にあっても発言できること、そして対立する意見や価値観があるときはその違いを受け止めながら対話によって合意点を見つける努力をすることです。対話を拒否して一方的に否定したり、攻撃するのは建設的ではありません。でも、対立意見を丁寧に掘り下げて、誠意を持って対話を重ねることができれば、黒か白の二者択一ではなく、青や緑という新しいベストアンサーが生まれるかもしれない。そのアンサーは別の道を歩むことかもしれないし、部分的に協働することかもしれません。対立は互いに向き合う姿勢があれば、そこで生まれたものは成果であり前進のチャンスになるはずです。
この命題は簡単ではないでしょう。もしかすると人類最大のチャレンジかもしれません。でも、私は理想に向かって希望を持ち続けます。そして、同じように希望を抱く仲間と共に歩んでいきたいと思います。

ページTOP